ポイント1 人身取引の防止のための規定の整備
人身取引が国際的に問題になっています。日本では、人身取引の被害者が接待飲食等営業(スナック・キャバレー、料理店、社交飲食店、ダンス飲食店、ダンスホール等、低照度飲食店及び区画席飲食店)で働かせられている例が多く見られます。
そのため新風営法では、これらの業種の営業に関し、次の改正を行いました。
@ 接待飲食等営業(上記のかっこがきのもの)、店舗型性風俗特殊営業、無店舗型性風俗特殊営業
及び午後10時以降に営む酒類提供飲食店営業を営む者は、接客する従業員について、
○ 生年月日、国籍
○ 外国人の従業員については、在留資格、在留期間等を確認し、確認の記録を作成・
保存しなければならない
としました(新法第36条の2)。
この生年月日等の確認は、日本人については、住民票の写し、戸籍謄本、パスポート、運転免許証等、外国人については、パスポート、外国人登録証明書等により行わなければなりません。
また、確認のために使った書類の写しを従業者名簿ととともに保存しなければなりません。
ご注意ください !
出入国管理及び難民認定法(入管法)の「永住者」、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」、「定住者」により在留する方や、特別永住者の方は、日本人と同様、就労の制限がありません。
しかし、これ以外の外国人がそれぞれ認められた在留資格に応じた活動以外の就労活動を行う場合には、あらかじめ最寄りの地方入国管理官署において「資格外活動許可」を受ける必要があります。わからない方はお近くの外国人在留許可を取り扱う行政書士にご相談ください。
ご注意いただきたいのは、、資格外活動は、本来の在留目的である活動の遂行を阻害しない範囲内で行われると認められるときに限りその範囲が指定されて許可されるものです。ですから、風俗営業等に従事することは許可されません。スナックのホステスなどはできないということになります。
「興行」の在留資格により在留する方は、風俗営業の許可を受けた店舗において踊りや演芸を行い、又は歌や演奏を聴かせる仕事に就くことができる場合が一部ありますが、その場合でも、その店舗やその他の店舗でホステスとして「接待」など、興行以外の活動をすることはできません。入管法違反の資格外活動に当たり、不法就労になります。
風俗営業者、外国人とも検挙逮捕されますので適正な許可を受けるようにしてください。
ポイント2 性風俗関連特殊営業の規制の強化
@ 届出確認書の交付
性風俗関連特殊営業(※1)を営むには、公安委員会への届出が必要ですが、5月からは性風俗関連特殊営業の届出書が提出されたときは、提出者に届出確認書(届出業者の名称、連絡先等を記載した書面)を交付することとしました(新法第27条第4項、第31条の2第4項ほか)。
※1 店舗型性風俗特殊営業 (ソープランド、店舗型ファッションヘルス、ストリップ劇場、ラブホテル、アダルトショップなど)
無店舗型性風俗特殊営業 (派遣型ファッションヘルス、アダルトグッズ等通信販売など)
映像送信型性風俗特殊営業 (アダルトサイトなど)
店舗型電話異性紹介営業 (テレホンクラブなど)
無店舗型電話異性紹介営業 (ツーショットダイヤルなど)
(風営法第2条第5項から第10項まで)。
ご注意ください ! 性風俗関連特殊営業を営む者の義務
○ 届出確認書を営業所や事務所に備付けなければなりません。
○ 関係者(建物の賃貸人、不動産業者、広告代理店、客、就職希望者、警察官等)から届出確認書
の提示を求められた場合は、これを提示しなければなりません(対面でない場合は、コピーで可)。
(新法第27条第5項、第31条の2第5項ほか)
無届業者を判別し、排除することができるようになりました。
A 届出制の強化
添付 書類が必要になりました(新法第27条第3項、第31条の2第3項ほか)。
添付書類 例
・営業の方法を記載した書類
・営業所等の使用について権原を有することを疎明する書類
・営業者(法人の場合は役員)の住民票
・営業所、受付所の平面図、周囲の略図
ご注意ください !
現在、性風俗関連特殊営業を営んでいる方は、改正後も営業を継続する場合は、平成18年7月末までに、この添付書類を公安委員会に提出しなければなりません。この手続をしないと、8月以降は、「無届」ということになり排除の対象となります。
B 派遣型ファッションヘルスの受付所、待機所の規制
派遣型ファッションヘルスについて、受付所(お客さんにサービス内容を説明し、注文を受けるためにお客さんを立ち入らせる施設)や待機所(派遣従業者を待機させるための施設)を設ける場合には、届出書にその旨と所在地を記載しなければならないこととしました(新法第31条の2第1項第7号)。
また、受付所については、店舗型ファッションヘルスとみなして、営業禁止地域等の規制が適用されます(新法第31条の3第2項)。
ポイント3 性風俗関連特殊営業の集客行為の規制の強化
@ 客引きをするための立ちふさがり、つきまといの禁止
風俗営業、店舗型性風俗特殊営業、店舗型電話異性紹介営業及び深夜飲食店営業については、これまで禁止されていた「客引き」に加え、「客引きをするため、道路その他公共の場所で、人の身辺に立ちふさがり、又はつきまとうこと」を禁止しました(新法第22条第2号ほか)。
A 無届の店舗型性風俗特殊営業、無店舗型性風俗特殊営業の広告宣伝の禁止
届出書を提出していない者が、これらの営業を営む目的をもって広告又は宣伝をすることを禁止し、違反した者を100万円以下の罰金に処することとしました(新法第27条の2、第31条の2の2ほか)。この規制は、ビラだけでなく、雑誌・新聞広告、ホームページの公開も対象です。
B 性風俗関連特殊営業の広告宣伝の方法規制の強化
これまでは罰則がありませんでしたが、今回の改正では、
○ 広告制限区域等で看板、ポスター等を表示すること。
○ 地域、居住者の年齢を問わず、人の住居にビラ等を配ること。
○ 広告制限区域等でビラ等を頒布すること。
○ 広告制限区域等以外の地域において、18歳未満の者に対してビラ等を頒布すること。
を禁止するとともに、違反した者を100万円以下の罰金に処することとしました(新法第28条第5項ほか)。
ポイント4 少年指導委員に関する規定の整備
警察職員だけでなく、少年指導委員についても、公安委員会の指示により、次の場所に立ち入ることができることとしました(新法第38条の2、第37条第2項)。
○ 風俗営業(スナックなど接待をする店)、店舗型性風俗特殊営業、店舗型電話異性紹介営業の営業所
○ 派遣型ファッションヘルスの事務所、受付所、待機所
○ 午後10時以降も営む酒類提供飲食店営業の営業所
○ このほか、設備を設けて客に飲食をさせる営業の営業所(深夜のみ)
適正な風俗営業許可・届出を行っていない店の取締りが強化されます。今までのようにまわりの店が取っていないからと言って、無許可で営業していると検挙される可能性が高くなりました。
ポイント5 罰則の強化
各種罰則の刑を重くしました。 特に、年少者使用や構造・設備の無承認変更は、法定刑の上限が懲役1年となり、風俗営業の許可の欠格事由(取消事由)となります。
許可自体を取っていない店も多くあります。年少者使用、外国人使用、構造・設備の無承認変更をしているお店もたくさんあります。検挙、逮捕、営業停止命令などを受ける前に適正に許可・届出を行い法令遵守をすることが大切です。
スナックを経営してる方で、風俗営業ではないと勘違いをしている方もいらっしゃいます。 ほとんどの場合、風俗営業に該当しますので許可が必要です。
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